猫伝染性腹膜炎の治療剤には、GS-441524、モルヌピラビル、レムデシビル等がありあす。今回はその中のGS-441524の治療経過をFIPについて研究を行っているDr.Pedersenの論文を整理し、時間の経過と共にどのように猫ちゃんが回復していくかお伝えしようと思います。
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ToggleFIP治療のタイムライン
FIP治療:12~36時間後
- 体温が正常に戻る
- 食欲が回復し始め、活動量が改善傾向
- (60時間(3日前後)後には、一時的な体温の急上昇が研究で見られました。)
FIP治療:24~48時間後
- 眼球症状が消え始める
FIP治療:3~5日後
- 全ての猫ちゃんの症状が改善し始める
- 入院していた猫ちゃんは、退院し治療ができるようになる
FIP治療:1週間後
- 胸水による呼吸困難は、GS-441524治療7日目以降はこれ以上酷くなったり、呼吸困難の症状が現れることはなかった
- リンパ球減少は治療開始1週間で解決
FIP治療:10~14日後
- 胸水が消え始め、完全に胸水が消えるまで1~2週間ほどかかる
FIP治療:2週間後
- 全ての猫ちゃんの様子がほぼ正常or正常になったことが観察される
- 白血球の数値がほぼ正常に戻る
FIP治療:3週間後
- グロブリン&タンパク質の上昇(腹水が急速に解決される時期に発生)
- 黄疸は2~4週間かけてゆっくりと解決
- 黄疸の解決と同時に高ビリルビン血症が減少
FIP治療:6~8週間後
- 貧血数値が正常に戻る
FIP治療:8週間後
- アルブミン数値が正常に戻る
FIP治療:8~10週間後
- A/G比率数値が正常(0.7)に戻る
FIP治療期間について
猫伝染性腹膜炎のGS-441524による12週間(84日)の治療については、動物生態学的な指標に基づくことが大切です。
研究の結果、PCV、血清タンパク質、グロブリン、アルブミンの4種類の数値、そしてA/G比率が有効な判断材料と確認されました。この5つの判断材料の1週間ごとの検査データを見ると、猫ちゃんは治療から6~10週間後でも完全に回復していないということが分かります。このデータから、FIPの治療には最低12週間の期間が必要ということが再確認されました。
再発の場合、大部分は治療終了から3~84日(平均23日)に起こることが確認されています。
FIP治療期間の検査データ
「総タンパク質」のFIP治療12週間のデータ
「グロブリン」のFIP治療12週間のデータ
「アルブミン」のFIP治療12週間のデータ
「A/G比率」のFIP治療12週間のデータ
「白血球」のFIP治療12週間のデータ
「リンパ球」のFIP治療12週間のデータ
原文リンクおよび写真の出典:https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X19825701
翻訳版:https://ameblo.jp/neko-denchi/entry-12817956174.html