FIP治療期間84日という数字が見えてきたときに本当に治療を終了しても良いか不安になるかと思います。猫伝染性腹膜炎の治療を終了しても良いかは、診断時と同様に獣医師さんが血液検査や超音波検査、臨床を基に判断しないといけません。
100%の正確で治療を終わっても良いか判断をしたいのであれば、血中のFIPVが存在するか検査をすれば良いのですが、残念ながらこの検査が無いため、様々な情報から総合判断して治療終了の可否をしないといけません。
FIPの治療終了をしても良いか優先度が高い順に3つ挙げていきます^^
Table of Contents
Toggle治療期間及び投与量は十分であったかどうか
FIP治療終了の判断基準①
– 84日の投与期間&体重あたりの投与量
様々な研究から12週間(84日)と決められた標準治療期間を守っているかどうかが第一の条件です。
早期治療終了する場合も見られますが、ウイルスが体内から消えたかどうかを確認する方法はありません。特に眼球や神経への症状を持っている猫ちゃんの早期治療終了は非常に危険です。
FIP治療中に体重あたりの投与量を増加した場合は、症状が良くなっているのであれば2~4週間治療を行うことが推奨されています。
投薬中に投与量の計算を間違えて少なく投与したことを後日気が付いたときは、不足した投与量の日数分の治療の延長を勧めています。もし投与量のせいで治療を延長しようか迷っているのであれば、結果的に再発であっても「あの時に延長していれば」という後悔をしないようにと海外では大部分の方が延長しています。
血液検査やその他の臨床検査
FIP治療終了の判断基準②
– 血液検査数値&その他エコー、レントゲン
血液検査では、A/G比率が0.6以上、リンパ球が30%以上、貧血や黄疸数値が正常値、その他FIPを疑うこととなった数値が正常値になっているか確認します。
エコーやレントゲンを通して、腹水や胸水が無いか、リンパ球の肥大が見られないか等を確認します。
【A/G比率の数値について】
猫伝染性腹膜炎を判断するひとつの基準としてAG比を使用します。「0.8以上は異常なし」「0.6以下は疑い」「0.4以下は確定」これを治療終了の基準に置き換えると、0.8以上が理想的な数値ですが、0.6以上であれば正常範囲内であるということが分かります。
AG比は口内炎等の他の疾患に影響されやすく、治療終了時に0.6以下になる可能性があります。また、異常が見られずAG比が低い時は投薬終了後から数値が徐々に改善していくことがあります。
AG比が低い場合は、原因があるのかまたはどのように変化していたのかを見て治療を延長するべきか終了するべきか判断することが大切です。そのため12週間の治療期間中に最低4週間の間隔で血液検査を行い定期的に猫ちゃんの様子を見ることが大切です。(特にCBC、タンパク質、問題があった数値)
▶▶よくある質問集「検査について」の「FIP治療中の定期検査は必要?」に詳しく定期検査の必要性を説明しています。
▶▶GS-441524を使用したFIP治療のタイムライン
現在の猫ちゃんの状態、特に体重の増加が安定的であるか
FIP治療終了の判断基準③
– 治療前と現在の猫ちゃんの様子の比較
初めて体調に異常が見られ動物病院に訪問した時、FIPを疑うきっかけとなった猫ちゃんの状態が改善したかどうかを確認します。ここでいくつかの例をお見せします!
- 減った体重が戻ったか
- 止まっていた成長期が正常に進んでいるか
- おとなしいと思っていた子が狂ったように走り回る
- いたずらっ子になる
- 毛に艶が出ているか
- 目がキラキラして元気そうか
これらの3つを総合的に判断して、まずは投薬からの卒業となり、12週間の観察期間がスタートします。猫伝染性腹膜炎の治療終了へのゴールが近い方、これからFIPの治療を始める方、現在治療中の方が少しでも安心して治療終了しても良いと納得できますように。
本当に治療を終了しても良いか不安という方はいつでもご連絡ください^^