FIP治療情報

FIP治療の始まりの歴史と今後のFIP治療

FIPの治療に関する研究が開始され、この治療への可能性を導かれたのは2018年に行われたアメリカのUC DavisでのDr.Pedersenによる研究でした。この研究ではコロナ治療剤であるGC376やGS-441524といった抗ウイルス成分が、猫コロナウイルスの突然変異である猫伝染性腹膜炎にも有効であるということを発表しました。

GC-376はFIP治療研究において一番初めに使用された成分です。臨床試験や実際の治療現場から、副作用が比較的多く発見されて現在ではGS-441524などに耐性が確認できた等の特定のケースを除いて使用されなうなっています。

後続の猫伝染性腹膜炎治療研究で使用されたGS-441524は臨床研究や実際の治療現場から85~90%にたっすり完治率や低い副作用と細胞毒性(変異原性)で知られています。現在はFIP治療に有効とされている追加の成分(レムデシビル・モルヌピラビル)と組み合わせて使われることもあり、GS-441524のFIP治療への使用は効果的な選択肢とされています。

さらに多くの国で臨床試験が進み、多くの猫伝染性腹膜炎を患った猫ちゃんがGS-441524をベースとして2019年から2024年までに北米、ヨーロッパ、中華圏、韓国など世界中で数万匹以上の患者が治療を受けてきました。このような国々では、FIP治療経験のある家族が集まった治療コミュニティが多くの地域で作られ、FIPに感染した際に新規FIP治療がすぐに受けられるような多くの情報と知識が蓄積されている状況です。

GS-441524は猫伝染性腹膜炎の効果的な治療剤として注目を集めており、日本でも多く認知されてきています。この成分はギリアド社が開発しましたが、経済的な要因や特許に関連した問題から、GS-441524は今後も動物向けの正式な医薬品として市販される可能性は低いとされています。

ほとんどの国で使用されているGS-441524の猫伝染性腹膜炎の治療薬は、中国の製薬会社で最初にFIP治療薬製品を作り始められ、数々の中国の製薬会社がGS-441524製品を北米、ヨーロッパ、香港、台湾、韓国そして東南アジアと多くの国に、様々なブランド名で販売されています。

上でお話ししたようにGS-441524製品は正式に販売されることが難しいため、グレーマーケットやブラックマーケットで販売されており、このような事実はDr.Pedersenも認知しています。また今もなお多くの臨床試験や治療で中国製のFIP治療薬が使用されています。

中国の製薬会社は、注射剤から経口薬や再発耐性複合治療剤など、治療を受ける家族を支えるために改善を続けています。2019年は数千ドルに達していた高額な治療費用でしたが、現在は製薬会社間での競争により価格が大幅に下がり数百ドルとなったことで、治療の機会が増えました。FIP治療を受けないといけない方々にとってはどのような理由があっても治療費が低価格化していくこの変化は良いことではないでしょうか?

GS-441524を使用したFIP治療薬の低価格は私たちにメリットがある一方で気をつけないといけないことがあるため、このお話しは今度してみようと思います!
▶▶北米やヨーロッパで多く流通しているGS-441524製品を調べた結果
▶▶FIP治療 GS-441524注射薬の選択の注意(2023.05.14)

2019年頃から現在にかけて猫伝染性腹膜炎を克服するために懸命に治療に取り組んだ先輩猫ちゃんの存在を忘れてはいけません。2019年当時は治療プロセスに関する情報、症状別の投与量等の適切な治療ガイドラインが不十分であり、さらに特殊な市場のため複数のFIP治療ブランドが数十個と作られていました。不安定な品質や含有量、製品の安定性の問題により、治療が十分にできず再発や死亡といった出来事が各国のコミュニティで報告されました。

長年に渡る努力の末に今では安定したFIP治療のためのガイドライン、FIP治療剤の特徴に応じた適切な選択肢の提供ができるノウハウが出来たことは本当にありがたいことです。また今後FIP治療を必要とするご家族にとって治療への選択肢が増えたことは大きな喜びかと思います。

注意すべきことは猫伝染性腹膜炎は依然としてすべての猫ちゃんが100%回復している訳ではありません。治療の延長が必要な子、再発をする子、治療初期に亡くなる子、合併症が現れる子がいます。猫ちゃんごとに状況は様々で、今後も治療がどのような方向性になっていくか予測することは誰もが難しいと考えているのではないでしょうか。

猫でんちでは今回の記事を始めとして、これからもFIP治療において大切な情報、海外の治療ガイドラインや猫伝染性腹膜炎の治療薬の選択について私が知っている限りのことをお届けしていきます。

FIP治療に精通している獣医師の先生に出会い、先生のもとで治療を行えることがご家族にとっても猫ちゃんにとっても安心できベストな治療方法ということを十分に承知しています。しかし家庭の数があるだけ様々な事情があることも承知しています。

猫でんちを通して今は猫伝染性腹膜炎の治療は不可能ではないということを知っていただきたいです。
多くの方が一緒に治療に参加し、一緒に情報を共有することが出来るようになれば、より多くの猫ちゃんが長い猫性を大好きな人の側で幸せに居ることができると信じています^^

不安からSNSやインターネットを検索して情報を集まる時間よりも、コミュニティを通して可愛い我が子と一緒に居る時間や治療に専念する時間が増えるように出来ればと思っています。諦めずに治療を頑張っていきましょう!

各国で数万人以上の人が集まっているコミュニティを通して安全な治療方法や治療薬の情報を共有しているので紹介します

猫伝染性腹膜炎の治療についてFIP治療薬モルヌピラビルやGS-441524の費用や購入先の紹介をしている猫でんち
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