少し前ではFIPにかかると金銭的にも精神的にも負担が大きい病気でした。しかし最近は猫伝染性腹膜炎の治療薬を取り扱っていたり、FIP治療を行ってくれる病院が増えたり、インターネットで購入する人が増えてきていたり、SNS上でFIPの治療をサポートしている方や団体が多くなってきました。そのおかげかFIPを疑われていたが他の病気と分かった子のご家族からは「FIPならば良かったのに」という声をたくさん聞くようになりなってきました。
誰でも治療ができるようになってきたFIP治療薬は、次々と新しい製品が出てきており、低価格化してきている状況で、消費者である私たちは治療薬がより手に入りやすくなったというメリットがあります。
一方で「品質」という観点からみると少し注意が必要な場合があります。FIP warriorsで発表された研究結果の記事も参考にしつつまとめていきます。
参考資料:Summary_of_the_investigation_on_GC376_and_GS_441524_brands_containing.pdf
Table of Contents
ToggleGS-441524を謳った製品の主成分がモルヌピラビル
北アメリカやヨーロッパで主に流通している「水性」「無痛」と宣伝されているGS-441524やGC376のFIP注射治療薬ですが、研究を行った結果、主成分がモルヌピラビルであったということが判明しました。
モルヌピラビルとFIP治療薬の低価格化の背景
2019~2021年のコロナウイルス感染症が流行っていた期間にインドや中国でレムデシビルやモルヌピラビルを大量に生産され、コロナ感染症が落ち着いてきた現在、レムデシビルやモルヌピラビルを適用可能な製品として猫伝染性腹膜炎の治療剤にして低価格で提供しようとしている動きがあります。そのため、GS-441524よりも低価格な原料を使用しFIP治療薬を製造、販売するところが増えてきました。
研究対象に選ばれた薬の副作用の報告
①治療中にブランドに変えてから約3週間で耳が垂れる
・・・
②再発治療に使用した薬で、あごの下の毛が抜ける症状が発生
→ 体重減少と元気が無くなり再再発治療が必要に
・・・
③耳の垂れ、白血球と好中球の減少
→ 他のブランドに切り替えて耳の垂れは改善、血液検査も2~3週間後に改善
HPLC分析とUV分光光度分析結果
今回対象となった6つのブランド全てで、モルヌピラビルの型と一致していることが判明しました。
その他の試験データ:Summary_of_the_investigation_on_GC376_and_GS_441524_brands_containing.pdf
まとめ
コロナウイルス感染症が流行っていた時に作られた大量の治療剤の原料が大量に余り、安い価格で取引されているようです。そのため相当数のGS-441524の低価格治療剤にモルヌピラビルの提示がなく混ざっているということがあり、「水性の注射」「無痛の注射」「高いpH」と宣伝しているところは避けるという選択がベストではないかと考えます。
もちろんレムデシビルやEIDD-2801(モルヌピラビル)は猫伝染性腹膜炎治療への効果は全く無いと言うことができません。しかしGS-44152に比べて効果が若干低かったり、副作用が多く報告されている、患者側が投薬量が分からずもらった薬を飲ませているのみというところがあるというのが事実です。
猫でんちとしてはFIPの特効薬としてGS-441524での治療を推奨したいですが、それぞれの事情があると思います。GS-441524を使用するメリットやデメリット、モルヌピラビルを使用するメリットやデメリットを良く考え、猫伝染性腹膜炎の治療薬を選択してくださいね!
多くの方が使用しているGS-441524のブランドをまとめ >>>FIP治療薬の紹介