FIP治療情報

FIP治療中の治療薬(ブランド)変更について

結論からお話しすると、現在猫伝染性腹膜炎の治療に使用中の薬やブランドを変更することは可能です。

基本的にFIP治療薬は主成分(GS-441524)は同じで、主成分の含有量や溶媒そして各薬剤の購入先、副成分等の違いがあります。しかしどこの販売会社も主成分(GS-441524)の含有量を除いて非公開であり、直接わたしたちの目で確認することも難しく、どの治療薬ブランドが良い、悪いという判断は難しいです。

見た目では判断が難しい分、FIP治療薬の変更を行う際に参考していただきたいポイントをまとめました。

薬の含有量(㎎/ml、㎎/錠)によって、投与量(ml、錠)の計算を行い、変更前の投与量に合わせた体重あたりの投与量(㎎/㎏)が必要になります。

例えば20mg/mlから15mg/mlの製品に変更する場合、猫ちゃんの体重1㎏あたりの必要投与量は同じですが、注射液の量は変更後が多くなります。

経口薬は消化器管を通して薬が吸収されるため、経口薬の含有量を見る時は1錠に含まれている薬の含有量よりも、実際に体内に吸収される薬の吸収量を確認する必要があります。
 *参考Clover社のCurecat 4kg 錠剤は1錠あたり体内吸収率を考慮して24mg (=1/4錠あたり6mg)

治療薬ブランドごとに製薬会社が違うため、同じ薬剤を使用していても少しずつ薬の成分や品質が変わっていきます。そのため切り替えた直後に一時的に猫ちゃんの体調に変化が見られる場合があり、変更後2~3日は注意が必要です。

特定の薬が合わない猫ちゃんもいるため、数日経過しても体調に改善が見られない場合は元の治療薬に戻す必要があるため、治療薬の変更の際には変更前の薬を手元に残しておくことがお勧めです。

猫伝染性腹膜炎の治療を始めてから早ければ2~3日の間に、通常は1~2週間の間に好転反応が見られます。しかし2週間を経過しても猫ちゃんが良くなる様子が見られない場合、「①投薬量が不足している」「②薬があっていない」の2種類を考えることができます。そのため、投薬量を増やすこと以外にも治療薬ブランドを変更することも視野に入れるようにお伝えしています。

GS-441524を使用したお薬が合わないということは多いケースではありませんが、猫ちゃんによって治療薬に合う合わないがあるのは事実です。

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