猫でんちと相談している猫ちゃんの中に自分の投薬量が分からず動物病院から処方されたまま服用されているという場合が多々見られます。今は体調が安定しているから問題ないかもしれませんが、治療中に悪化する可能性や休薬後にウイルスが再増殖して再発という可能性もあります。
今回は臨床研究や治療現場から有効とされている猫伝染性腹膜炎に有効な抗ウイルス剤の投薬量をまとめました。使用する各メーカーによって投薬基準は変わりますが、一般的に最低投与量はどうなっているのかということです。
使用する抗ウイルス剤の適切な投薬量や投薬方法を守ることでより効率的にFIP治療の効果を得ることができます!
現在は世界的にGS-441524が最も安全で治療効果が高いとされており、一般的に使用されている抗ウイルス剤です。GS-441524の再発や耐性が見られた時、どうしてもGS-441524が入手できない時の猫伝染性腹膜炎治療の選択肢として他の抗ウイルス剤があるということも知っておく必要もあると考えています。
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ToggleGS-441524(皮下注射・経口薬)
GS-441524は最も一般的に使用されている治療剤だけではなく、GS-441524の治療を行った場合の臨床研究による資料も多くあります。
GS-441524治療薬販売会社紹介:https://nekodenchi.com/curative/
- 治療期間:12週間(84日)
- GS-441524最低投薬量
・6mg/kg:眼球炎症または神経学的な症状が無い場合
・8mg/kg (最低値):眼球炎症(滲出液の有無は関係なし)
・10mg/kg (最低値):神経学的(滲出液の有無は関係なし)
投薬量は上記のようになっていますが、使用する製品によって変わってきています。基本的に購入したGS-441524ブランドに問い合わせるのが良いですが、ブランド名が分からない場合や確認が困難な時は上記の容量が最低でも投薬出来ているか確認してください。
また、経口薬は実際に表記されているのは「GS-441524の含有量が体内で吸収されている量であるか」「その他の物質も含まれている量なのか」を確認するとより正確な投薬ができます。
レムデシビル(皮下注射)
オーストラリアやイギリスで合法的に処方することが可能なため、レムデシビルでFIP治療を行うケースもあります。FIP治療を行う場合は治療の初期である2週間程度のみ使用し、その後GS-441524の経口薬に切り替えることが推奨されています。
- 治療期間:12週間(84日間)
・治療開始の数週間→レムデシビル
・残りの期間→GS-441524の経口薬 - レムデシビルの投薬量
・10mg/kg:滲出液あり(眼球炎症または神経学的な症状が無い場合)
・12mg/kg:滲出液なし(眼球炎症または神経学的な症状が無い場合)
・15mg/kg:眼球炎症(滲出液の有無は関係なし)
・20mg/kg:神経学的(滲出液の有無は関係なし)
静脈注射にてレムデシビルの投薬を行う場合は、胸膜浸出液(胸水)を悪化させる可能性、胸水を新しく誘発させる可能性が10%以上と高く、細かななモニタリングが必要です。
モルヌピラビル(皮下注射・経口薬)
モルヌピラビルを使用したFIP治療の研究結果が発表されてきました。
またFIP治療薬メーカーの中には猫ちゃん用に作られた錠剤や注射薬も販売されています。https://fipclover.com/
- 治療期間:12週間(84日間)
- モルヌピラビルの投薬量
・20mg/kg/日(1日2回の投薬:10mg/kg/回)
:滲出液あり(眼球炎症または神経学的な症状が無い場合)
・30mg/kg/日(1日2回の投薬:15mg/kg/回)
:滲出液なし(眼球炎症または神経学的な症状が無い場合)
・40mg/kg/日(1日2回の投薬:20mg/kg/回)
:眼球・神経学的症状あり(滲出液の有無は関係なし)
モルヌピラビルの使用は限定的なもので長期間の使用や高容量の使用で副作用の発生が多数報告されています。そのため、通常GS-441524への耐性が確認された場合のGS製剤の代わりとなる治療薬として使用することが推奨されています。
配合剤(経口薬)
配合剤はGS-441524に耐性が見られた場合に推奨されています。GS-441524と数種類の抗ウイルス薬が一つのカプセルになっている、Curecatから販売されている製品です。https://fipclover.com/
GS-441524は高容量の服用でも副作用等、猫ちゃんへの影響がないとされています。治療効果の効率を考えるとGS製剤で18~20mg/kgの投与を継続していても改善が見られない場合、耐性の可能性を考慮する必要があります。
- 治療期間:基本12週間(最低8週間の治療推奨)
- 配合剤の投薬量
・1錠/kg(症状は関係なし)
GS-441524へある程度の反応がある猫ちゃんに有効です。高容量のGS-441524を投薬し続けていても急速に悪化する場合はモルヌピラビルの使用が治療に有利な場合が多いです。